外来魚との付き合い方

“外来生物”と聞くと「捕食者」や「侵略者」という悪のイメージしか湧かない場合がほとんどではないでしょうか?メディアがそういった方向からしか報道しないことも原因ですが、確かにその側面は大いにあると思います。今回は釣りに係る外来種についてのお話です。

コラムの第1弾で子どもの頃、棒竿にミミズを付けて釣りをしてたとお話しましたが、何度かブラックバスやブルーギルを釣り上げたことがありました。

コラム第1弾はこちら▷【渓流釣りのお金~遊漁券~】

小学校で「ブラックバスやブルーギルを川に放すと罰金50万!」と先生に教えられていたので、「この魚は悪い魚だ!釣り上げてやったぞ!」と悪の権化のように彼らを見ていた記憶があります(罰則の詳細はかなり曖昧な記憶ですが…)。

そんな外来種ですが、いったい「何が悪いのか」をまとめて行こうと思います。

・在来生物及び農林水産資源の捕食
・在来生物及び農林水産資源の生育環境の奪取
・在来生物及び農林水産資源の捕食対象の奪取
・近縁交雑
・人的被害

このようなものではないでしょうか。

釣りで係る魚で有名な外来種はブラックバスとブルーギルですが、彼らは小魚、甲殻類、昆虫など口に入れば何でも食べてしまいます。

ブラックバスは肉食性で、自分の半分くらいのサイズなら成魚だろうと丸飲みでぺろりです。ブルーギルは肉食傾向の強い雑食性で、魚卵を好んで捕食しますが、ブラックバスは卵や稚魚を守る習性があるので、その矛先は自ずと在来魚の卵へと向かいます。

(在来魚も少しはブラックバスを見習った子育てをしたらどうかな…)

そして彼らの稚魚はプランクトンを食べて成長しますが、これは在来種の稚魚も同様の食性を持つのでエサの奪い合いが起きてしまいます。

この成魚稚魚を問わない侵略の2段構えはまさに“飛天御剣流奥義 天翔龍閃”って感じですね!何をしても勝てない状態です。完全なる劣勢です在来種。

さて、ブラックバスとブルーギルの天敵として、在来の肉食魚「ナマズ」があげられることもあります。確かにナマズは外来魚を捕食しますが、ナマズは外来魚センサーなんて持ち合わせていないのでもちろん在来魚も食べてしまいます。

そして実はこのナマズも本来西日本にしかおらず、人の手によって東日本に広まったと言われています。

“国内外来生物”ってやつですね。

ヘラブナも琵琶湖のゲンゴロウブナの変異個体を全国に放流したもので、当たり前に川で釣れることは自然な状態ではありません。

コイなどの在来種だと思われていたものが、「遺伝子を調べたら実は外来種でした」なんて言われる事態も起きています。亀だとクサガメがこれにあたります。ただ、国の定める法律では外来種を「明治時代以降に持ち込まれた日本国外の生物を中心とする」と定義しています。

【環境省・外来生物法】

ここまで、外来種の「何が悪いのか」を見てきましたが、そんな彼らの「扱い方と罰則」についてもまとめてみようと思います。

<禁止事項>※原則禁止。研究の目的などで許可が下りる場合有
・販売の禁止
・飼育、栽培、保管及び運搬の禁止
・輸入の禁止
・野外へ放出や拡散の禁止

<罰則>※個人を対象としたもの
・【許可のない者への販売】3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
・【許可なく販売配布目的で飼育】3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
・【許可なく愛玩目的で飼育】1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
・【偽りや不正で許可を取得】3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
・【野外へ放出や拡散】3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金

各都道府県により異なりますが、釣ったその場でのリリースを禁止するかどうかが条例で定められており、2019年2月時点では東京都はブラックバスのリリースを禁止していません(釣ったその場に戻すことを指し、これ以外の場所への放流は法令通り禁止)。

しかしながら禁止している都道府県も多くあることから、これは全国規模で行っていくべきだと私は考えています。

ではリリースを禁止されている場合どうするか?これは大きな課題です。
その場で苦しまぬように命を絶ち、持ち帰って廃棄することになるでしょう。釣り場に捨てて腐敗させることも問題であり、回収ボックスなどが設置された場所もありますがまだまだ少ないのが現状です。

つまり自宅で生ゴミとして処分するのです。とんでもなく釣れた日は家中死魚だらけで生ゴミの日を待たなければいけません。

そして、倫理観という話にもなります。ついさっきまで生きていた魚をゴミとして扱うこと。「命」について考えなければならない問題もここにはあります。

その命を尊重してなのかどうかは定かではありませんが、「外来種を食べよう」という趣旨のサイトや動画でブラックバスやミドリガメを食べている方も見かけます。食べるという形で命を絶つのであれば、そこまで大きな罪悪感を抱くこともないでしょう。

ただ川の中~下流の生物は泥臭さや生臭さが強く、何を食べているか分からないので身体に悪影響を及ぼす場合もあります。自宅で泥抜きという一時飼育をしてから調理したいと思っても、生きたままの運搬と飼育が禁止されているので、普通に考えたらブラックバスやブルーギルを食べる気になんてなれないんです。

肯定するわけではありませんが、リリースしてしまう人がいたとしても、それだけを取り上げて責めることはできないのかもしれません。身勝手な理由により放流を繰り返す一部の人間を抑える為の法律が、純粋に釣りを楽しむ人たちの選択肢を狭めている。これに限ったことではありませんがよくある話ですね。

ここまでブラックバスとブルーギルを中心に話を進めてきましたが、釣り堀や渓流釣りで見かけるニジマスも外来種です。正直、子どもの頃からつい最近までニジマスを外来種として認識する場面がありませんでした。お恥ずかしい話です。

ただこれはなぜか?と考えてしまいます。

まずニジマスについてですが、彼らはアメリカやカナダ原産の魚でイワナやヤマメなどの渓流魚と生息域が重なります。体長もニジマスの方が大きくなり、水中昆虫や魚卵、小魚を捕食する肉食性であることから在来種にとっては脅威です。食用として管理、または釣り用に放流されたものが野生化したという外来種初登場シーンのド定番で、低水温を好むなど生息条件が狭いことからバスたちより取り上げられることはないのかもしれませんが、立派に外来種としての悪役を全うしていることに違いありません。

ニジマスが問題としてあまり取り上げられない理由として、産卵時期までに釣り人がほとんど釣り上げてしまうという点があります。釣りすぎです釣り人。

他にも、これらに携わる人たちのヒエラルキー、利権の問題も絡むでしょう。お金にならないものは先立って悪者にされるのも事実です。

動物に限らず植物にも多くの外来種と改良品種が存在しますが、農林水産資源などの商品として扱われるものが問題に上がることはほとんどありません。

これと同様のことが河川でも起きています。漁業協同組合によって管理される魚は、遊漁券によって商品として成り立ちますが、その対象ではない魚、とくに外来魚とそれらを釣る人たちには批判の矛先が向いやすい傾向にあります。

それはバス釣りを行う年齢層が低いということもあるでしょう。年齢だけで語れない部分ではありますが、マナーの悪いバス愛好家が多いとも聞きます。立場が変われば主張も変わり、双方からの意見もあるでしょうが、このような声が上がるということは真摯に受け止めるべきことです。

これからはエサ釣りよりもルアー釣りが主体になるとも言われており、私がニジマスに何も感じていなかったように、生まれた時からブラックバスがいることが当たり前の世代がほとんどになるでしょう。

環境は変って行くものであり、自然によるものにせよ人の手によるものにせよ、いずれ必ず変わります。

外来種と在来種の生存競争、釣り人の世代や価値感、それに係る組織にも、変化が起きる時期に来ているのかもしれません。

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